ドリーム・シアターにマイクポートノイ(Dr)が電撃復帰!!
アメリカのプログレッシブ・メタルバンドであり、そのジャンルで揺るぎない地位を築いているDREAM THEATER(ドリーム・シアター)に元ドラマーでリーダーだったマイク・ポートノイが復帰する事が発表されました。
脱退した13年前に僕が感じていたこと
そもそもマイク・ポートノイは、オリジナル・メンバーでありドリーム・シアターの中心的人物として活躍し、バンドが一躍トップシーンに躍り出た立役者として無くてはならない存在でした。
2009年、10枚目のアルバム「Black Clouds & Silver Linings」を発表したのち、2010年にAvenged Sevenfold(アヴェンジド・セブンフォールド)のドラマーとしてツアーに参加する事に対し、バンド側との相違があり、2010年に脱退しています。
2009年末、アヴェンジド〜のドラマーであったあったザ・レヴが突然亡くなるという不幸があり、彼はその後の彼らのアルバム制作に参加しアルバムがビルボードで1位を記録、2010年に彼らのツアー参加も表明しました。
当時の彼はドリーム・シアターの活動を一旦緩め、別バンドのドラムとしてツアーをする事でリフレッシュしたかったのか、アヴェンジド〜のような若くしてトップに上り詰めたバンドに参加したことで、自分もそっち側に加わりたくなってしまったのか色々な要因が重なり、そしてバンドメンバーとの考え方の違いによって脱退しています。
HAIL!やTRANSATLANTIC、AVENGED SEVENFOLDと一緒にプレイした事が俺にとって非常に素晴らしい経験だった。そこで、ドリーム・シアターに対して以上に、こういった他の人たちとのプロジェクトの方が楽しく、その人たちとの方がよりよい人間関係を築き上げることが出来る、という結論に残念ながら至ってしまったんだ。
https://www.barks.jp/news/?id=1000064065
(中略)
でも、このドリーム・シアターというバンドが、俺を燃やしつくし始めてしまったんだっていう結論に至ってしまった。他のメンバーとの関係性を保つため、そしてドリーム・シアターに対する俺の渇望感と情熱を保つために、ちょっとバンドから距離を置く期間が必要だと感じ始めた。
当時の僕は彼の脱退に関して、マンネリになってきた夫婦が若い娘と遊んでたら勘違いして、自分もまだ若い子に対してイケると思って離婚したって心境に似てるんじゃないかなって思ってました。
その後、アヴェンジド〜への加入もやんわり拒否られ(彼らのバンドマスコットのタトゥーさえ入れたというのに)、若い娘に本気になって離婚までしてあっさり捨てられるという中年男の悲哀の様なものすら感じさせました。
確かにアヴェンジド〜の亡くなったドラマーはマイク・ポートノイをリスペクトしていたし、その想いもあってドラマーとしてアルバム制作に協力し、その後のツアーに参加したら、アヴェンジド〜の若いファンにチヤホヤされて嬉しくなっちゃうのも分かるんですがね。
チャチャっとドラムを叩いたらビルボードで1位、ツアーでは若者や女性からの声、新たな名声を得たら「なんか俺、こっちじゃね?」って勘違いしますよね、それは。
ドリーム・シアターのファンってどっちかっていうとオッサンが多めで、若いお姉ちゃんがキャーキャー言ってくれる様なバンドじゃないから。
また当時彼は43歳、僕も丁度そのくらいなので分かるのですが(一緒にするのは烏滸がましいけれど)、段々とこのままの延長線上で生きていくのか、もっと他にあるんじゃないか、悩む年頃なんですよね。
いわゆる中年の危機ってやつです。
当時の彼らのアルバムは微妙と言えば微妙で、ピークを過ぎつつあるのは本人たちも自覚していた事なのではないでしょうか。
そんな中でフレッシュで勢いのあるバンドに参加したことで、若かりし頃の自分を思い出したり、新鮮な経験をしたりして、自分が向かう先はこっちなんじゃないか?と思うのも分かります。
2ndアルバムが大ヒット、その後5thアルバムで再び大ヒットするも段々と新作アルバムが微妙になってきたのはマイク・ポートノイのワンマン感、セルフプロデュース力に限界が見えていたのもあったし、彼自身もネタ切れを感じていた時期なのかなと思います。
そんな中、他バンドで活動することで新たなエナジーや可能性を感じ、こっち側でやっていく事で自分の才能を更に開花させた方が(綺麗事で言えば)今後のドリーム・シアターの為にもなると思ったのかなって気がします。
とはいえファンとしては、バンドのリーダーという立場であるだけでなく、マイクとギターのジョン・ペトルーシ、ベースのジョン・マイアングが名門バークリー音楽院で出会い、意気投合しバンドが結成されたというストーリーも含め、彼の脱退を惜しむ人も多かったと思います。
僕も今後のドリーム・シアターがどうなるのだろう?と不安があったし、その後マイク・マンジーニが加入してからもそこまで盛り上がれていない自分がいました。
もちろん好きなアルバムもあったし、今でもよく聴いていますが、時折マイク・ポートノイが参加していたらもうちょっと違うアルバムになっていたのでは?と考えたものです。
そして個人的には、ライブでのドラムソロに魅力を感じられず、やはりマイク・ポートノイのドラムを求めている自分が居ました。
とは言えマイク・マンジーニの加入がなければ続いていなかったと思う
とは言え、僕はマンジーニの加入を間違っていたとは思わないし、当時の選択としては最良だったと思っています。
彼はドリーム・シアター加入前から、ANNIHILATOR(アナイアレイター)、EXTREME(エクストリーム)といったバンドに所属し、どちらも僕の好きなバンドでした。
だからこそ加入した当時は嬉しかったし、マイク・ポートノイのバカテクドラムを叩ける人が居る事に感動と喜びと安心を抱いたものでした。
2011年に発表された11枚目のアルバム『A Dramatic Turn Of Events (ア・ドラマティック・ターン・オブ・イベンツ)』での新ドラマーオーディションは感動的だったし、僕はあのアルバムは今でもよく聴くお気に入りです。
彼は13年という長きに渡りバンドメンバーとして活躍し、元ドラマーのようなワンマン・ジャイアン節を出す事もなく、真摯にストイックに貢献してくれたと思います。
マイク・マンジーニ、いや卍兄さん本当に感謝です。
ドリーム・シアターがこのタイミングでマイク・ポートノイを復帰させるという決断を下したことは理解できる。加入した日から言われていたように、僕の役割はマイクがバンドで担っていた全ての役割を埋めることではなかった。バンドを継続させるためにドラムを叩くことだった。僕の主な役割は毎晩、ライヴをしっかりと機能させることで、強烈でやりがいのある経験だった。ありがたいことに、象徴的なミュージシャンたちと一緒に音楽を演奏したり、ユーモアに満ちた楽しい時間を過ごすことができた。また、クルーと多くの時間を過ごすことも本当に楽しかった。 そして、グラミー賞の受賞は、驚くほど満足のいくものだった。
https://amass.jp/170676/
そして去り際のコメントの泣けることよ、、、彼の真摯でプロフェッショナルな性格が滲み出ています。
そりゃ、脱退に悔しさやネガティヴに感じた部分だってあったでしょう、彼のプライドやこれまでの貢献に対する思いもあっただろうに。
とは言えマイク・ポートノイの再加入がなければ続いていなかったと思いたい
しかしながら、最近のアルバムは僕にとっては微妙さを感じていたのは事実です。
以前ならばアルバム発売日まで指折り数えていたし、当日に真っ先に買いに行ってました。
しかし近年はかつて好きだったバンドの新作アルバムって感じだったし、一枚を通して聴くのもしんどくなっていました(年齢もありますが)。
アルバム全編に渡ってのワクワクや楽しさが無くて、それを自分からわざわざ細々と探している行為が虚しく思えたりもしたものですから。
もちろん良い曲もあったし、今でも聴く曲は沢山あります。
ただ以前はどのバンドと比べてもドリーム・シアターは特別だったんですよね、それが無くなってしまって何だか悲しかったのも事実でした。
そんな中の再加入ですので、僕は勿論大歓迎ですし、期待もしています。
脱退してからの13年、様々なバンドで活動し、活躍してきたマイク・ポートノイ。
そこで得た新たなエナジーと、古巣へ戻る事で発揮されるケミストリーが見所かと思います。
対してバンド側はこれまでずっとドリーム・シアターを守り、プログレメタル界の総帥として技を研ぎ澄まし、近年ではグラミー賞をも獲得しました。
またマイク・ポートノイの抜けた後、ペトルーシ(Gt)中心ではあるものの基本的には超民主主義で製作していく手応えや、その手法を確立していった13年の重みがあります。
再加入してすぐにかつてのジャイアン節を振るうのか、様子見で転校生みたいな態度を取るのか。
彼らのパワーバランスが良い塩梅で楽曲に昇華されることを願っています。
マイク・ポートノイの再加入によって、老舗の定番メニューにどんなエッセンスが加わるのか、早く味わいたいものです。
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