ルーツと絆の再確認、熟練のテクニックが生み出す良作。
アメリカのプログレッシブ・ヘヴィ・メタルバンド「Dream Theater(ドリーム・シアター)」の通算14作目に当たる『DISTANCE OVER TIME(ディスタンス・オーバー・タイム)』が2019年2月に発売されました。
彼らはこのアルバム製作にあたり、ニューヨーク州北部の人里はなれた郊外で4ヶ月に渡って共同生活を行い、その中で楽曲製作をしたとのこと。約20年ぶりとなる共同生活が彼らの「絆」を深め、「若かりし頃」のフィーリングを呼び戻したのでしょうか。アルバムを通して長大な楽曲は少なく、シンプルな楽曲が並びます。どことなく8thアルバム「Train of Thought」を感じさせるヘヴィ寄りの作風には、喜びを持って迎えたファンも多いのではないでしょうか。
なおこの作品は 「Roadrunner Records」から、「Sony Music」傘下の「Inside Out Music」に移籍しての第1弾作品となっています。
Dream Theater 14thアルバム『DISTANCE OVER TIME』(2019年)
<アルバム曲目>
01. Untethered Angel (6:14)
02. Paralyzed (4:17)
03. Fall Into The Light (7:04)
04. Barstool Warrior (6:43)
05. Room 137 (4:23)
06. S2N (6:21)
07. At Wit’s End (9:20)
08. Out Of Reach (4:04)
09. Pale Blue Dot (8:25)
10. Viper King (4:00) 限定盤ボーナス・トラック
<リリース情報>
・リリース:2019年2月
・スタジオ:Yonderbarn Studios
・レーベル:Inside Out Music
・プロデュース:John Petrucci
<メンバー>
Vo:ジェイムズ・ラブリエ
Gt:ジョン・ペトルーシ
Ba:ジョン・マイアング
Key:ジョーダン・ルーデス
Dr:マイク・マンジーニ
ディスタンス・オーバー・タイム – Wikipedia
個人的レビュー・その他もろもろ
ドリームシアターファンおよびプログレ・メタルファンにとって、この作品を待つ間は期待と不安が入り混じった状態であったと思います。僕もその1人でしたが、個人的には否定的な意見が強く、不安が8割以上を占めていたかと思います。その理由としては、以下の3点が挙げられます。
① 前作13th「The Astonishing」が壮大に微妙な大作だったこと
② 先行シングルに魅力を感じなかったこと
③ 彼らがベテランになりすぎたこと
です。以下にその思いを述べてみたいと思います。
①元々期待していた前作の13thアルバムが個人的にイマイチだったのもあり、今作品にも大きな期待はしていませんでした。もう興味を抱く程のバンドではないのだろうかという、残念な迷いすら感じていました。ただ2017年に公演された「Images and Words」25周年記念ツアーを観にいき、13thアルバムの件は一旦置いておいて、やはりこのバンドが好きであることを再確認しました。なので期待半分、諦め半分という思いで本作を待っていましたね。
②数ヶ月前に聞いた先行シングルである「Untethered Angel」(本作1曲目)を聴いたとき、ちょっともうこのバンドに期待しないほうがイイのかなと感じたのを覚えています。暗めのアルペジオからヘヴィなリフへと続く新鮮味のない曲展開、何の感動もない歌メロ、曲調に合わないバーベキューをしているメンバーのPV、その全てに残念な印象を受けましたね、、、正直今もこの1曲目に全く思い入れは無いですけどね。
③彼らはもう30年以上のベテランバンドです。もはや成功もし、名声やお金もある(そして年をとった)。今や好きな音楽をやるだけの自由や権利もあるのでしょう。それだけにハングリーさに欠け、きれいに纏まった印象を時折感じてしまうのです。それだけにというか、今のメンバー自体に真面目で穏やかな人物が多いように感じます。しかしそれは僕が求めていない彼らのカラーなんですよね。それらをぶち壊して再構築するだけの我儘さとカリスマ性を持っていたマイク・ポートノイが在籍してたらなぁ、と思いますね。
それらの不安があったものの、3月末現在毎日のように聴いているし、全然悪くはないなぁと感じています。アルバムのはじめから最後まで通して聴いてる程に気に入っている訳じゃないけれども。ただ時折このアルバムを探して、定期的に聴くような魅力は乏しいようにも感じてます。しかしこれは自分の耳が彼らのサウンドに慣れていて新鮮味に欠けるのと、年齢的に感受性が低くなって来たってのもあると思いますね。
そんなアルバムの個人的お気に入りは7曲目「 At Wit’s End」。テクニカルなイントロから泣きのギターソロまでお腹いっぱいです。次につながるバラード8曲目「Out Of Reach」もいい(がキラーチューンというほどではない)。総じて、代表曲がないのが本作の弱さなのかなと感じますね。
1stシングルでありアルバム1曲目にもなった「Untethered Angel 」から微妙な雰囲気を醸し出しているのが、このアルバムの全体像を予見しているようにも思えます。あと、限定版の2枚目はただのインストバージョンで、相当のマニア以外は必要ないと思いました。最近この手の2枚目が1枚目のインストバージョンっての増えてますよね。。。
個人的オススメ曲
#04. Barstool Warrior
中間のギターソロがカッコいい。
#06. S2N
S2NとはSound To(2) Noiseの意味らしいですね。イントロを攻めるパキパキのベースがベースがかっちょ良いですね。
#07. At Wit’s End
本作のお気に入りの曲がこちら。「途方に暮れる」って意味らしいですが、PTSDを題材とした歌詞にも注目です。
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