新ヴォーカリストを得て、ドイツの壁を破り世界へ飛び出したカボチャたち。
Keeper Of The Seven Keys Part1(守護神伝-第一章-) 』はドイツのヘヴィメタルバンドであるHELLOWEEN(ハロウィン)が1987年に発表した2枚目のアルバムです。
本作は彼らが世界へ飛び出すきっかけともなった名盤であり、以後フォロワーが生まれ続けるメロディック・スピードメタル(通称メロスピ)、ジャーマンメタルのブームの火付け役となった一枚です。
またバンドとしても、新ヴォーカリストであるマイケル・キスクの初参加作品であり、若かりし彼の信じられないヴォーカルには誰もが驚かされました。ギターに専念したしたカイ・ハンセンとマイケル・ヴァイカートのツインギターは冴え渡り、今後5人体制がハロウィンのスタンダードとなっていきます。
HELLOWEEN 2ndアルバム『Keeper Of The Seven Keys Part1(守護神伝-第一章-) 』(1987年)
<アルバム曲目>
01. Initiation
02. I’m Alive
03. A Little Time
04. Twilight Of The Gods
05. A Tale That Wasn’t Right
06. Future World
07. Halloween
08. Follow The Sign
<リリース情報>
リリース:1987年5月
スタジオ:ー
レコーディング:Horus Sound Studio
レーベル:ノイズ・レコード、ビクターエンタテインメント
プロデュース:トミー・ニュートン、トミー・ハンセン(Co-produced)
<メンバー>
Vo:マイケル・キスク
Gt:カイ・ハンセン
Gt:マイケル・ヴァイカート
Ba:マーカス・グロスコフ
Dr:インゴ・シュビヒテンバーグ
守護神伝 -第一章- – Wikipedia
個人的レビュー・その他もろもろ
1987年5月に発売された2ndアルバムであり、ボーカル、ギター×2、ベース、ドラムの5人体制で初のアルバムになります。
邦題は「守護神伝 第一章」、時代感漂うダサカッコいいタイトルですが、僕がバンドを組んでいたら絶対に付けないであろうタイトルです。しかしコレ、「ジャーマンメタル」というマイナーなジャンルが世界へ飛び出したその第一章であり、記念すべき1枚なのです。
まずは何といっても新ボーカリストであり、今でも多くのメタルファンからリスペクトされている希代のボーカリストであるマイケル・キスク(最近だとキスケとも表記される)の加入による、バンド全体のスケール感が増したことが挙げられます。
前任のカイ・ハンセンはどちらかと言うと中音域に弱く、高音と低音が強い癖のある声質であったのに対して、キスクは甘く響く低音からクリアな高音まで幅広く、どこまでも伸びる力強いボーカルスタイルが特徴です。
両者共に好みは分かれますが、表現力を伴い様々なスタイルの楽曲が歌えるキスク無しではこれほどメジャーになることはできなかったと思います。
また、カイもキスクの音域に合わせて自由に作曲できるようになった事もあり、楽曲のバラエティは1stを超える素晴らしい出来でした。
殆どの楽曲をカイが作曲しており、ヴァイキー、キスクも作曲に多く加わった「Keeper~Part2」の方がバラエティに富んだアルバムではありますが、どちらも名盤であることに間違いなしです。
カイもヴァイキーと共にツインリードギターで自由に演奏しており、若き才能が爆発しています。
しかもこの頃のマイケル・キスクはめちゃくちゃイケメンです。
キスク加入によってバンドのイケメン度が増した事も、バンドをメジャーに押し上げた(特に日本で)一つの要因だと思っているのですが、どうでしょうか。
真ん中で分けた金髪のロン毛をなびかせ、デニムとジャケット姿のどうってこと無い格好に長い手足、そして勇敢なケツアゴにノックアウトされた女子は数多くいたことでしょう。
今ではプックリと太ったスキンヘッドで「爆弾岩」みたくなってますが、そのハイトーンは衰えを見せていません。
曲構成はジャーマン系・メロスピ系で多用される、期待感を煽る短めのインストの#01「Initiation」の後、間髪を入れず疾走感とヘヴィさを兼ね備えた#02「I’m Alive」に続くという展開です。
今では散々使われている曲の流れですが、コレってハロウィンが初めなんじゃないかと思います。
現在でも歌われるポップな#06「Future World」、13分を超える中に目まぐるしい曲展開が盛り込まれた、まさにハロウィンの夜を表した#07「Helloween」など、40分程度の短い中に充実した楽曲が詰まっています。
特徴として、#02「I’m Alive」、#04「Twilight Of The Gods」、#06「Future World」など、ポジティブな歌詞が多く生きる希望や未来について歌っている曲が見られるところ。
また、アートワークや本人達のキャラクターも含め、メタルの中にも明るく親しみやすい雰囲気をまとっているのもこのバンドの特徴です。
ここから日本でもジャーマンメタルに火がつき、その後守護神殿ー第二章ーを発表することで確固たる地位を築くのですが、それはまた後のお話。
個人的オススメ曲
#02. I’m Alive
まさにPart1の一曲目、こんなにもシンプルでカッコよくて疾走感のある楽曲から始まる。コレが新しいハロウィンだ!と全世界に叫ぶようなマイケル・キスクの伸びのあるヴォーカル、カイ節炸裂のメロディアスで歌い出したくなるサビ、流麗にハモるツインギターなどハロウィンの得意技オンパレード。3分半のコンパクトな楽曲には「俺は生きている!」という若さとポジティブさを内包させた溢れんばかりのパワーがほとばしっている。
#06. Future World
チャカチャカ刻むリフから始まるこの曲はハロウィンだけでなく、ガンマ・レイでも演奏される人気の曲。ポップでありながらメタル感もある、程よいバランスが様々な人に受けているんだろう。
ポジティブで救いのある中にカイなりのメッセージ性が含まれている歌詞が好き。
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