HELLOWEEN(ハロウィン) 3rdアルバム『Keeper Of The Seven Keys Part2(守護神伝-第二章-)』(1988年)

ジャーマンメタル

Part1から一年、現在も語り継がれるジャーマンメタルの名盤の完成。

『Keeper Of The Seven Keys Part2(守護神伝-第二章-)』はドイツのヘヴィメタルバンドであるHELLOWEEN(ハロウィン) が1988年に発表した3枚目のアルバムです。

時にミュージシャン達は、思いがけないタイミングで才能がぶつかり合い、非常に素晴らしい作品を作り上げることがあります。
いわゆる「ケミストリー」と呼ばれる現象であり、様々なバンドが名盤を生み出す瞬間でもあります。

前作Keeper~Part1ではカイ・ハンセンの土壇場という印象も拭えませんでしたが、このPart2ではカイ、マイケル・ヴァイカート、マイケル・キスクの3名が均等なバランスで力を及ぼし、数々の名曲を作っています。またバンド内のパワーバランスも、これまではカイを中心としたものから3人の発言力が強く現れ、各自の個性が際立つ作品となりました。

HELLOWEEN 3rdアルバム『Keeper Of The Seven Keys Part2(守護神伝-第二章-)』(1988年)

<アルバム曲目
01. Invitation
02. Eagle Fly Free
03. You Always Walk Alone
04. Rise and Fall
05.DR. STEIN Dr. Stein
06. We Got the Right
07.March of Time
08.I Want Out
09. Keeper of the Seven Keys
10. Save Us

<リリース情報>
リリース:1988年11月
スタジオ:Horus Sound Studio
レーベル:ノイズ・レコード、ビクターエンタテインメント
プロデュース:トミー・ハンセン

<メンバー>
Vo:マイケル・キスク
Gt:カイ・ハンセン
Gt:マイケル・ヴァイカート
Ba:マーカス・グロスコフ
Dr:インゴ・シュビヒテンバーグ
守護神伝 -第一章- – Wikipedia

個人的レビュー・その他もろもろ

本作は1988年11月に発売された3rdアルバムであり、前年Keeper~Part1に続く2枚目のアルバムになります。
邦題は「守護神伝 第二章」、アルバムタイトル、ジャケットともにPart1を踏襲したものになっています。このアルバムと前作で「ジャーマンメタルとはどういうものか」という定義が出来上がったように思います。
・1曲目はアルバムの始まりを告げる壮大なインスト
・2曲目は疾走感のあるメロディックなキラーチューン
・ポップとメタルの丁度よいバランス
・早いツーバスドラムに、マイナースケールを多用したツインリードギター
・隠し味にキーボードで壮大に
今でもジャーマン系、メロスピ系と称されるバンドは大体このような曲調であり、曲展開なのですが、それがこの時代に確立されているというのがスゴイ。
本作品は1988年発売ですが、1986年はアイアンメイデンの「サムホエア・イン・タイム」、メタリカの「メタル・マスター」が発売されており、メタルの名盤が溢れんばかりの時期でした。
これら世界的なメタルの追い風が、ジャーマンメタルの名盤を生み出すひとつの後押しになったのかも知れません。

曲構成は1曲目「Invitation」から2曲目「Eagle Fly Free」の流れは本当に圧巻です。「Invitation」はKeeper~Part1の1曲目「Initiation」と掛かっており、2枚組の統一感が伺えます。
2曲目「Eagle Fly Free」はメタルファンなら誰しもが聞いたことのある超名曲、マイケル・ヴァイカートの天才的な作曲能力に酔いしれることができます。この曲、注目すべきはギターソロだけでなく、ベースソロ、ドラムソロが中盤に盛り込まれている点です。
ギターソロ、ベースソロ、ドラムソロ、ツインギターソロ、クライマッックスに向かうコーラスと、どこを取っても素敵な展開。そしてマイケルキスクのどこまでも伸びィィィーーーーーるヴォーカルが素晴らしい。
またポップでコミカルというハロウィンの一面が光る4曲目「Rise and Fall」5曲目「DR. STEIN Dr. Stein」も聴いていて楽しい。
カイの作曲能力も一層際立ち、ドラマティックな7曲目「March of Time」8曲目「I Want Out」は大好きな曲。
僕個人はこれら楽曲の中で、やはりカイ作曲のものが好きであったことが、後のガンマ・レイ好きに繋がっていくのです。
そして9曲目「Keeper of the Seven Keys」は14分ある大作であり、壮大な一大絵巻を観ているかのようです。曲の内容は鍵の守護神である主人公が鍵を7つの海に投げ入れて封印し、世界を悪魔から開放するするといったもの。ヴァイカート自らもこの曲は自分のセラピーの様であったと後述しており、過度のスケジュール、プレッシャー、人間関係に疲弊してながらもこの名曲を作り上げたのです。

多くのバンド同様、歴史的名盤を作った後に待っていたのは名声だけではありませんでした。それを超える作品を作るという過度のプレッシャー、ギクシャクした人間関係、レーベルの無茶な要求やアメリカ市場で売れるための戦略といったものに巻き込まれていきます。

今後カイ、ヴァイキー、キスクの奇跡的な三角形のケミストリーが再び得られることはなく、リーダーであったカイ・ハンセンは体調不良等を理由にこのアルバムを最後にバンドを脱退してしまいます。
あともう一枚、このメンバーでアルバムが出来ていたら、、、と思うと残念でなりません。
しかしメタル、特にメロディックな作品を聞きたいという方が居るなら、まずはこのアルバムをお勧めします。本作はメロディック・スピードメタルのお手本であり、今聞いても尚色あせない名曲で溢れています。

個人的オススメ曲

#02. Eagle Fly Free
今も燦然と輝くジャーマンメタルの名曲、イーグル・フライ・フリー。かっちょ良い、そして歌詞も意外と良いんですよね。そしてよくよく聴くとAメロは民謡アルプス一万尺だったりする。作曲のヴァイキーは民謡を元ネタにすることが多いのです。

#04. Rise and Fall
メタルバンドの弱点である、アルバムがメタル過ぎて疲れる問題を解消してくれる、ハロウィンお得意のポップなメタル。こういったバランスの良さがアルバム一枚通して聴くのに上手く作用してると感じます。

#09. Keeper of the Seven Keys
14分の大作であるにも関わらず、曲の展開が様々で退屈せずに聞き通せる一曲。Keeper〜Part1の「Halloween」と双璧をなす10分越えの曲だ。僕はこっちの方が好きですね。聞き通すと確かにセラピーのように心が落ち着くのが不思議。

オフィシャルHP・リンクなど

■ オフィシャルHP

HELLOWEEN OFFICIAL
Offical website from the legendary German Metal Band Helloween
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