Dream Theater(ドリーム・シアター)ミニアルバム『A Change of Seasons(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)』(1995年)

プログレ・メタル

人の一生を一曲にした23分長のタイトルトラックが秀逸

『A Change of Seasons』はアメリカのプログレッシブ・ヘヴィ・メタルバンド「Dream Theater(ドリーム・シアター)」が1995年に発表したミニアルバム(EP盤)です。
EP盤とは、「Extended Play」の略であり、フルアルバムとシングルの間の位置付けになります。キーボードのケヴィン・ムーアが3rdアルバム製作時には既に脱退を発表しており、新メンバーとしてデレク・シェリニアンが加入しています。

▲ デレク・シェリニアン

彼はアリス・クーバーのバンドやキッスのツアーメンバーとして活動していましたが、ドリーム・シアターの新メンバーとして本作から次の4thアルバムまで在籍します。
23分を超える長大なタイトルトラック以外は、ライブ音源のカバー曲という構成。ただそれらの曲もあって、ミニアルバム扱いであるもののトータルでは50分以上になっており普通のアルバムと相違ないボリューム。ライブは往年のハードロック、プログレッシブロックからの名曲を中心とした選曲なっており、彼らが幅広いジャンルから影響を受けていることが確認できる貴重な資料でもあります。

Dream Theater(ドリーム・シアター)ミニアルバム『A Change of Seasons(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)』(1995年)

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<アルバム曲目>
01. A Change of Seasons
  I. The Crimson Sunrise
  II. Innocence
  III. Carpe Diem
  IV. The Darkest of Winters
  V. Another World
  VI. The Inevitable Summer
  VII. The Crimson Sunset
02. 葬送/血まみれの恋はおしまい Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding
  (エルトン・ジョンのカバー)
03. パーフェクト・ストレンジャーズ Perfect Strangers
  (ディープ・パープルのカバー)
04. 流浪の民/アキレス最後の戦い/永遠の詩 The Rover – Achilles Last Stand – The Song Remains The Same
 (レッド・ツェッペリンのカバー3曲のメドレー)
05. ザ・ビッグ・メドレー The Big Medley
  I. イン・ザ・フレッシュ? “In the Flesh?”
  (ピンク・フロイドのカバー)
  II. 伝承 “Carry On Wayward Son”
  (カンサスのカバー)
  III. ボヘミアン・ラプソディ “Bohemian Rhapsody”
  (クイーンのカバー)
  IV. ラヴィン・タッチン・スクィージン “Lovin’, Touchin’, Squeezin'”
  (ジャーニーのカバー)
  V. クルーズ・コントロール “Cruise Control”
  (ディキシー・ドレッグスのカバー)
  VI. ターン・イット・オン・アゲイン “Turn It on Again”
  (ジェネシスのカバー) 

<リリース情報>
・リリース:1995年9月
・スタジオ:BearTracks Studios
・レーベル:EastWest
・プロデュース:デヴィッド・プラター、ドリーム・シアター

<メンバー>
 Vo:ジェイムズ・ラブリエ
 Gt:ジョン・ペトルーシ
 Ba:ジョン・マイアング
 Key:デレク・シェリニアン
 Dr:マイク・ポートノイ

個人的レビューその他もろもろ

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 本アルバムは時系列としてみると3rdと4thの間に来ますが、このタイトルトラックでもある#01の最初のバージョンは1989年にまで遡ります。1989年というと彼らが1stアルバムを発表した年であり、その後2ndアルバムの製作時に作った曲のようです。その後ライブで演奏する中でメロディー、歌詞、アレンジを変更しながら最終バージョンに辿り着き、ミニアルバムとして(EP盤として)発表されます。ちなみにオフィシャル・ブートレッグ内では1993年に旧バージョンの本曲が演奏されているのを聴く事ができます。
本曲は2ndアルバムに収録したかったようですが、そうはならずに6年もの歳月を重ね、ようやく発表されました。ただ音楽性は2ndアルバムよりは3rdアルバム寄りの、よりメタルでヘヴィな曲。このくらいのバランスの曲が一番好きだなって思いますね。リアルタイムで考えた時、3rdアルバムに2ndアルバムらしさを期待していたファンは結構失望したと思うんですが、そのあとで2ndアルバムらしさを持ち合わせたこのミニアルバムが発表された事で、ファンはちょっと喜んだんじゃないかなと思いました。
タイトルトラックの#01は23分の長大な曲ですが、7つの章に別れた曲が連続した構成になっており、聴いていて飽きる事がないです。それは随所にインスト曲があり(#I、#IV、#VI)曲にも緩急があるからだと思います。歌詞は僕の好きなマイク・ポートノイ作。

▲ ドラムでリーダーのマイク・ポートノイ

ある意味人生ソング的な感じで、季節の移り変わり(A Change of Seasons)を人間の一生になぞって歌詞も変わっていきます。それはタイトル中#1にサンライズ「日の出」と、#7にサンセット「日没」と、1日の流れを最初と最後に配置していることからも明らか。僕の中では以下のように区分けできると考えてます。

I. The Crimson Sunrise〜II. Innocenceまでは少年期
III. Carpe Diem〜IV. The Darkest of Wintersは思春期
V. Another World〜VI. The Inevitable Summerは青年期
VII. The Crimson Sunsetは壮年期
という感じ。

マイクポートノイが書いた歌詞はもちろんファンタジーも含まれると思うのですが、興味深いのは「III. Carpe Diem」。このカーペ・ディエムというのはラテン語で、「seize the day:その日を掴め」という意味。彼自身の身体にもこの「Carpe Diem」という文字がタトゥーに刻まれており、サイン等でも見かける事からも、彼の信念としてある言葉なのかなと思われます。

そしてその曲中にある歌詞

きっと永遠に覚えているだろう
11月の冷たさを
陥落の知らせを
ホールに響く物音を
柱時計の刻む音を

僕が初めて聴いた2000年頃には解らなかったのですが、これは恐らく彼の母親が飛行機事故で亡くなった事を書いているのだろうと思います。

Portnoy was born April 20, 1967 and raised on Long Island in Long Beach, New York.His father, Howard Portnoy, worked as a DJ at a local radio station. Mike and his father later moved to Carmel-by-the-Sea, California to work at KRML radio station after watching the 1971 film “Play Misty for Me”. His mother died on November 16, 1984, when the private plane she was riding in, with her boyfriend, crashed off the Atlantic City coastline.

Mike Portnoy – Wikipedia  

ウィキペディアを読むと母親と彼女のボーイフレンドが1984年11月16日にプライベート飛行機で亡くなったと書いてあります。その頃マイクは17歳であり、当時の出来事を通して彼は「Carpe Diem」という思いを抱くようになったのでしょうか。
「III. Carpe Diem」のラストは(恐らく空港で)彼女と別れる下りが歌詞になっており、曲の展開的にも特に力の入る基点になっています。こういう絵のうかぶ曲を作るのが彼らは上手いなあと、そして演奏がタイトで上手い。キーボードもデレクがどれほど貢献したかは不明ですが、4thのファンキーさとは違っていい味出してます。
カバー曲の選曲もいいですよね。僕はこのカバーから本家の曲を知ったのもあって、特にカンサスやジェネシスはその後結構聴く事になるんですが、ジェネシスの”Turn It on Again”は本家と聴き比べても楽しいし、ドリームシアターって結構ポップ寄りなプログレ曲も聴くんだなって興味深かったです。

個人的オススメ曲

#01「 A Change of Seasons」
彼らのオリジナル曲だと、このアルバムではこの曲だけなので。23分にも及ぶ長大な曲だけれど、起承転結がはっきりしていて聞いていて楽しい。#IIIから#IVのソロに向かうまでの緊張感とテンションの上がり方、ラストの哀愁がたまらん。

オフィシャルHP・リンクなど

■ オフィシャルHP

Dream Theater - Official Website
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ドリーム・シアター | ソニーミュージックオフィシャルサイト
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