HELLOWEEN(ハロウィン) 16thアルバム『HELLOWEEN(ハロウィン)』(2021年)

ジャーマンメタル

すべてのエゴが消え去り、残ったのは純粋かつ至高のジャーマンメタル。

この『HELLOWEEN』はドイツのHMバンドである「HELLOWEEN(ハロウィン)」が2021年に発表した16thアルバムです。
1988年にカイ・ハンセンが脱退、1993年にマイケル・キスクが脱退してからおよそ30年の月日が経ち、彼らは再びハロウィンの名の下に集結しました。ヴォーカル2名、ギター3名、ベース1名、ドラム1名の総勢7人という大所帯でアルバム名『HELLOWEEN』という、まさにその名に相応しいアルバムを発表しました。
このアルバムを発表する前、かつてずっとメタルシーンから離れ、バンド復帰はおろかメタルソングを歌う事すら無いと思われていたヴォーカルの「マイケル・キスク」がバンドへ一時復帰しています。それと同じくして元リーダーであり、現GAMMA RAY(ガンマ・レイ)で活躍するギター&ヴォーカルの「カイ・ハンセン」も一時復帰、彼らを含めたメンバーは「パンプキン・ユナイテッド」と称してワールドツアーを行い、各地で大成功を収めています。
そのさ中に発表された「Pumpkin’s uinted」というシングル曲もハロウィン印の純粋なジャーマンメタルであり、衰えを知らないキスクのボーカルは往年のファンを喜ばせるだけでなく、今後の「何か」を期待させてくれる作品でした。
世界各国で大歓迎されたライブの手応えと、彼らの中に湧き上がる良質なケミストリーを無視できるわけは無く、彼らはそのまま新生ハロウィンとしてアルバム制作に入ります。この朗報を知った往年のメタルファンは僕を含めどんだけ喜んだか分かりません。本作はそういった背景を知らずとも、メタルファンなら絶対に気に入るアグレッシブなテンションとメロディアスでドラマティックな正にジャーマンメタルで溢れています。

HELLOWEEN(ハロウィン) 16thアルバム『HELLOWEEN(ハロウィン)』(2021)

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<アルバム曲目>
通常版Disc1
01. Out For The Glory
02. Fear Of The Fallen
03. Best Time
04. Mass Pollution
05. Angels
06. Rise Without Chains
07. Indestructible
08. Robot King
09. Cyanide
10. Down In The Dumps
11. Orbit
12. Skyfall
初回限定版Disc2
01. Golden Times
02. Save My Hide
03. Pumpkins United
04. We Are Real(日本盤ボーナス・トラック)
リリース:2021年

<メンバー>
Vo:マイケル・キスク
Vo:アンディ・デリス
Gt&Vo:カイ・ハンセン
Gt:マイケル・ヴァイカート
Gt:サシャ・ゲルストナー
Ba:マーカス・グロスコフ
Ds:ダニ・ルブレ
Helloween (album) – Wikipedia

個人的レビュー・その他もろもろ  

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1.キスク&カイの電撃復帰に大興奮が抑えられない

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10代の頃にハロウィンを知って、後追いだけどカイ&キスクの在籍していた黄金時代を知ってる自分にとっては、彼らの復帰はマジで嬉しかった。勿論現在のラインナップに不満があるわけじゃないんだけど、「守護神伝」の思い入れが強すぎてハロウィンといえばカイ&キスク&ヴァイキーだよって思いは簡単には消えるものではないのです。ビバリーヒルズ青春白書で言えば、第9シーズンでディラン・マッケイが復帰した時に興奮したような感じ(あんま分かんない例えですが)。

2.どこを切っても、まさにジャーマンメタル!
復帰だけが目玉じゃなくて、ホントにこのアルバムは全体的に曲が良いです。キスクのヴォーカルも衰え知らずで感動するけど、アンディのヴォーカルも全然負けてない。二人のユニゾンも心地いい。各自が持ち寄った楽曲もスピード感のあるメロディックなメタルソングが多めなのが嬉しい。まだまだ若いモンには負けてないぜってのが感じられます。個人的には1曲目はお約束の短いイントロだと復活を盛り上げるようで嬉しかったのと、1曲だけでもド定番のガチなバラードが有れば良かったなぁと思います。

3.カイの存在感をもうちっと感じたかった
カイ大好きな自分にとっては、彼の存在感をもうちょい感じたかったですね。作曲も#11,12のみで残念だったです。7人も居るとどの曲をアルバムに入れるかで大分難しいんでしょうけど。ギターソロも3人いるとカイがどこを弾いてるのか明確に分からなかったりして(何となくここだろうというのは分かるんですけど)。

4.アートワークに散りばめられた過去のキーワードが見ていて楽しい

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昔からのファンなら、本作のアルバムアートワークがどうなるか気になってたかと思います。僕はもっとデジタルな絵になるのかなと思ったら、油絵っぽい感じで驚きましたね。彼らの初期キャラクターである「ファングフェイス」と「守護神」の絡みみたいな絵かなと思ってたんで。でもこれはコレでカッコいいですけども。この中にはラッパ吹き、鍵、守護神(顔が宇宙のフードの人)など、彼らの過去のアルバムにあるモチーフが散りばめられています。絵がごちゃごちゃしてて分かりにくいんすけどもね。

5.ブックレットが微妙、開きにくい読みにくい

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初回限定のデジブックが個人的には苦手ですね。ハードカバー本のようでページをめくりにくいのが苦手かなと。ちゃんと歌詞とか読みたいし、ページごとの写真見たい方なので、開きにくいのがNGですね。あと初回限定に限らないのですが、歌詞が読みにくいです。英語慣れしてない自分には読み取りにくい、変なクセの強い文字で書かないで欲しいっす。

6.アンディ・デリスの活躍に大リスペクト 
マイケル・キスク復帰でヴォーカルとしても注目度も2番手以降に回ってしまうと思われたアンディ・デリス。彼についてはこのアルバム前の「パンプキン・ユナイイテッドツアー」を見ても、バンドが良い方向に行くという点において本当に貢献していると感じます。やっぱ面白くないじゃないですか、誰もが期待するキスクが復帰したら自分の立ち位置ってどうなのよ?ってなるだろうし。そこんところ、インタビューなどで読む程に彼の人柄というか優しさが伝わってきます。ライブでも彼を立てるようなアプローチをしたり、プライベートでもキスクとつるんで甘い物食べる仲良しだとかで。一人ひとりのエゴが強かったら、ツアーは成功しなかっただろうし、その後にアルバムを作ろうってならなかったと思うんですよね。しかも本作では曲の提供でも頑張ってるし、歌もキスクとは違った個性でしっかり爪痕残してます。思えばアンディの歌うハロウィンの方が歴史は長いんですよね。ぽっちゃりして来たけど甘いフェイスと髪も残ってて、まさしくハロウィンのフロントマンですね。

7.2枚組の限定版を買った方が良い
通常版にたいして限定版は4曲入りの2枚目が加わります。#1の「Golden Times」なんてモロにジャーマンメタルでカッコいい、#2もモダンなハロウィンソング、#3は前ツアー時に発表された「Pumpkin’s United」、#4はお気楽ハロウィンソングって感じでポップ感があって楽しい。

個人的オススメ曲

#01「Out For A Glory」
マイケル・ヴァイカート(ヴァイキー)による、ヴァイキーらしさ全開の曲。メロディックでスピード感のあるヴァイキー印のジャーマンメタルはいつ聴いてもやっぱり好きだ。ポップでシニカルさのある歌詞もいい感じ。

#05「Angels」
キスクのエロい中低音からの歌いだしからヘヴィなパートに移っていく。キスクとアンディの掛け合い、個性のぶつかり合いが聞ける。純粋なバラードではないんだけど、本作唯一と言っていいミドル・ローテンポのパワーバラード。

#07「Robot King」
ダサいタイトルだなぁって思ったけど、アルバム1,2を争う位好きかもって思う曲。ヘヴィなリフがザクザク刻まれてノリが良い感じだし、メロディアスなハイトーンのBメロやハモりながら歌い進むサビとか、メロディックなギターソロとか聴いてて堪らんです。

#12「Skyfall」
カイ作曲の10分以上ある壮大なメタルソング。ストーリー感の強いメタルソングで、地球に不時着したエイリアンを歌ったもの。もっとアルバムを総括するような世界観の歌詞(例えばKeeper Of The Seven Keysのような)の方が僕は好みだったけど、カイの宇宙趣味ってか、ガンマ・レイっぽさが出たのかなとも捉えられる。PVはアンディがアイアンマンっぽくなってて笑える。ダサカッコよくてコミカルなハロウィンのもう一つの側面って感じが見え隠れする。

オフィシャルHP・リンクなど

■ オフィシャルHP

HELLOWEEN OFFICIAL
Offical website from the legendary German Metal Band Helloween
ハロウィン | プロフィール | ビクターエンタテインメント
ビクターエンタテインメント公式サイト。ハロウィンのプロフィールページ。アーティストの紹介や経歴などをご覧いただけます。

■ 公式アカウント

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